【いしのまき演劇祭対談②】作品紹介 スイミーは まだ 旅の途中「魔女のパン/神様かもしれない、神様じゃないかもしれない/川にあかりを流す夜」

「何か演劇祭っぽい企画を…」といって行われた、いしのまき演劇祭の参加団体の代表による対談。

それぞれの作品の見どころや内容を紹介していただきました。

 

2番目は、石巻市にある劇団「スイミーは まだ 旅の途中」。

 

主宰の都甲がお話をさせていただきました。


語り手:

 

都甲マリ子(スイミーは まだ 旅の途中)

矢口龍汰(「R」)

北村耕治(猫の会)

菊池佳南(コマイぬ)

石川朝日(genten)

 

矢口「スイミー、作品について」

 

都甲「スイミー、作品についてはですね。

3本立てです。

 

今回は劇団員の小町が2作やっています。

彼女、今まで演出はやったことがないって言ってたんですけど。

 

でもすごく情熱があって。

 

ワークショップを3月くらいにやったときに

 

 

『やりたい本(台本)がすごくいっぱいある』

『あれもやりたい、これもやりたい』って。

 

 

だけど、そんなに出来ないからっていって。

結局そのとき使ったのは、3分の1くらいにしたんですけど。

 

でも、いろいろ見つけてきたり

 

 

『あれをやりたい、これをやりたい』

 

 

ってすごく言ってくれて。

 

でも私、全部に演出をつけて作品に出来ないなあって思ったんで、

(小町に演出を)『やってみる?』

って訊いたら、

 

 

『やる』

 

 

って言うんで、じゃあ、彼女に演出をまかせてみようと思って。

 

 

 

北村 「都甲さんは出るの、それ?」

 

 

 

都甲 「私は出ないです。

 

(作品づくりに関しては)完全に放置なんですけど(笑)。

何が出来あがってくるのかは、わかんない。」

 

矢口 「3つとも全部(小町作)じゃないでしょ」

 

 

都甲 「はい。1個は私が書きました。

それは、川開きの話にしようと思っていて。

 

石巻には川開きっていうお祭りがあるんですけど。

 

毎年7月31日は、前夜祭って言って川に灯籠を流すんです。

8月1日は、本祭で花火があがるんですけど。

 

灯籠流しをするようになったのは震災後ですかね?」

 

 

矢口 「ううん、昔からあって。

 昔、北上川を治水した川村孫兵衛ってひとを祀る行事としてあったんだよね。

 

震災後からは、鎮魂も込めての灯籠流しになった」

 

 

都甲 「それが、すごく綺麗なんですよ」

 

 

北村 「なんだろうね、綺麗なんだろうね

それが8月の1日?」

 

 

都甲 「それが7月の31日」

 

 

菊池 「コマイぬの公演の翌日ですね」   

 

都甲 「『川にあかりを流す夜』っていう題名でやるんですけど。

 

でも最初はぜんぜん違うものを考えてたんです。

 

 

そこから1周、3周くらい回って出てきたのは『銀河鉄道の夜』だったんです。

 

銀河鉄道の夜も、からすうりを川に流しに行くお祭りの夜に起こった出来事で。

友達が死んじゃったって話なんですけど。

 

 

石巻のお祭りの風景と、銀河鉄道の夜みたいな壮大な光景が一緒になるといいなあと思ってますね」 

都甲 「あと私の座組みには小学生と中学生が出てるんです」

 

 

矢口 「老若男女全員だよね」

 

 

都甲 「私の作品チーム(『川にあかりを流す夜』出演者)は、30代後半の女性がいちばん年上なんですけど。

 

もういっこのチーム(『魔女のパン』『神様かも知れない〜』出演者)の方は50代後半のおじさんがいて。

 

 

その幅広さってのはものすごくいいなあって思いますね」

 

 

矢口 「スイミーは地元のひとの視点から言ったらさ、入りやすいよね。

 

気軽にいつでも行けちゃう。

けっこう間口はでかいと思う」

 

 

都甲 「そうですね、いつでも来てくださいっていう。

 でもそのスタンスは実は私が始めたことじゃないんです。

 

もともと(劇団を作るときに)ワークショップを一般に広くやって、それでひとを集めたっていうのはあるんですけど。

 

 

でも『毎回稽古は見学自由なので遊びに来てくださいね』

 

 

みたいなアナウンスが流れ始めたのは、劇団の誰か勝手にがやり始めたんですよね。

 

 

『そうなんだ、誰でも来れるんだ』って

 

 

私が思っちゃったんですけど(笑)

 

 

でもそうすると、『お芝居はやらないけど』っていうひとが見学に来てくれたりする」

 

 

北村 「稽古だけ見に来る。そういうのいいよなあ」

 

 

菊池 「演劇に触れやすい。

やりたいけど、踏み込めないけど、とかいう人もいるかもしれないし」

 

 

北村 「多摩美に稽古だけ見に来たら不審者になっちゃうでしょう?」

 

 

石川 「…そうですね(笑)」

(※石川の「genten」は多摩美術大学美術学部演劇舞踊デザイン学科の学生が中心となって立ち上げた。稽古も大学内で行っている。)

 

 

北村 「そういうことだもんね」

 

 

菊池 「そこはね違いが大きいよね」

北村 「地域(に根付く劇団)としての開き方、があるのかもしれないですね」

 

 

都甲 「でもやっぱり(多摩美のような)ガリガリの『クリエイター集団』、みたいなことにはならないので」

 

 

北村 「なる必要もないんだろうね」

 

 

都甲 「やっぱ普通に仕事をしてるひとたちとか、学校に通ってる子たちが楽しく演劇で遊べるといいなあっていうのはありますよね」

 

 

菊池 「素敵だね」

 

 

都甲 「こんな感じです」

 

 

 

ありがとうございました。

劇団「スイミーは まだ 旅の途中」の公演は

7月10日(日)スイミー水槽劇場(旧ママイクコ・キムラふとん店さん隣にて行われます。

ぜひみなさま、会場にお越しくださいね。